6月24日こども医療センター、6月28日にはがんセンターにおいて、労働科学研究所の松元俊氏を講師に迎え「長時間労働がもたらす健康・安全・生活への影響について」と題して、学習会が開催されました。

(以下概略を掲載します。)

16時間夜勤というのは、外国にはない、看護師の16時間夜勤を対象にした科学論文は、6編しかなくそれも日本にしかない。

16時間夜勤は2日分の勤務を圧縮して連休を確保している

16時間夜勤交代勤務と3交代制では基本どちらも週40時間である。

夜勤評価のポイントは安全・健康・生活の質。それは、夜勤をすることにによってこの3点が阻害されやすいからだ。

そもそも夜勤の問題は睡眠リズムに表れる。人間の体は夜中は体温が下がって眠るメカニズムになっているが、夜勤では、無理やり起きて仕事をすることになる。12時間夜勤と16時間夜勤の業務の忙しさと、休憩仮眠の取得率の調査結果、16時間夜勤においては仮眠が120分でも疲労度が高く、不十分である。16時間夜勤と8時間夜勤との比較では、眠気とだるさ、ストレスにおいてどちらも高くなり、16時間夜勤が常に上回っている。

夜勤は酒気帯び運転と似た状態

 夜勤がどれだけ危険な状況であるかを実験にによって明らかにするために、被験者に血中アルコール濃度が0.1%まで飲酒させ、もう一方の被験者は模擬夜勤を7日間行い、双方にパフォーマンステストを行った結果、同じように反応が鈍くなっていくことがわかった。しかし夜勤の看護師は必死で気を張って業務に就いている。そして夜勤終了後に行ったドライブシュミレーター実験では、眠気が襲い、まばたきが多くなり、事故回数、側方への逸脱も多くなっている。このことからも、夜勤中のみならず夜勤を終えてからの安全性が脅かされている。

長時間夜勤と引き換えの連続休日は、多くは寝て過ごし、休日が楽しめていない。 

夜勤要員が少ないまま16時間などの長時間夜勤に入ると、実際は、長時間夜勤のうえに超過勤務となり、連続休暇も有意義に使えず疲労回復に拘束されている。

長時間夜勤交替制勤務・深夜勤務を行っている人は、睡眠の質が良くなく睡眠中も心拍数が高くなり循環器系に負担がかかる。

睡眠時の突然死の発生前状況の調査(徳留)データーでは、就寝中が3割以上を占め、次いで入浴中、休憩休息中が多くなっている。仮眠時に病院のストレッチャーで亡くなった大阪の看護師村上優子さんが過労死認定された事例も紹介された。

長時間夜勤を伴う2交代勤務は問題。だが、現在の3交代も嫌われる。なぜか、それは間違った3交代だからだ。日勤から深夜勤務は生理的に眠りにくい時間帯に仮眠をとらなければならない。日勤―深夜―準夜のパターンは逆循環で反生理学的で問題があり嫌われる原因となっている。改善策として、深夜前は短時間勤務とすることや、準夜勤後は明け日とさせるなど、勤務との間隔をとり、十分に休める体制が必要。

長期夜勤と乳がんの関係

夜中に蛍光灯などの光を浴びることによって、メラトニンが抑制され、エストロゲンが増加し、乳がんへの罹患率が高くなるというもの。デンマークでは労災補償を決定。国際がん研究機関も夜勤とがんの関係を認めた。

8時間夜勤も仮眠をするべき

夜勤中の仮眠は重要。夜眠れば生活時間を創出し、生活の質を高める。睡眠不足は、怒り、恐怖の感情が高ぶり、睡眠をとることは幸福感やプラスの感情に働くと米国睡眠学会で報告された。

2交代制VS3交代制では何も解決しない

・3交代の悪いところを

 改善する発想。

・誰でも長く働き続けら

 れる勤務体制作りを

・個々人の努力負かせで

 は早晩限界がくる。

8時間勤務であれば勤務調整できるが、16時間などの長時間夜勤は調整がしにくく、3交代、2交替の希望制を混在させた場合にも希望が崩れやすくなる。

(参加者の質問・感想)

救急外来で2交替を行っているが、眠りに就こうかというときに起こされる。話された内容を実感している。

2交替勤務を考えてきた。選択できるようにした。16時間勤務が良いとは思わないので少し短くしてシフトを考えている。いろいろ悩むところはある。ライフスタイルに合わせた勤務ができたら良いと思う。